コロナ下のGIGAスクール構想により、1人1台の端末が全国の小中学生に配られた。
「『これで救われる』と一瞬喜んだけど、変わらなかった。裏切られた感じ」。そう言うのは、首都圏に住む中学3年の男子生徒だ。
- 「手書きで板書を写すの重要?」 読み書き障がいの子の進路を阻むもの
小学6年の時、端末が配られた。だが、男子生徒はそれ以前から、合理的配慮を受け、自分のiPadを学校に持ち込んで学んでいた。
小学2年の春に、読み書きが苦手な学習障がいと診断された。教科書の音読ができず、何度も母親に読んでもらって耳で覚え、読んでいるフリをした。連絡帳を書くのも時間がかかった。算数は、そろばんを習っていたので暗算もできた。だが、問題を読めず、筆算も桁をそろえて書けないため、いつも「×」。習熟度別では補習が必要なクラスになった。
学校に行くのが嫌になったが、家にいるのも嫌だった。仕方なく登校する日々が続いた。
小学校校長「眼鏡や補聴器のように」
光が見えたのは、4年生になった時。校長が交代し、みんなの前でこう話してくれた。「視力が弱い人が眼鏡を、聴こえにくい人が補聴器をつけるように、読み書きが苦手だからiPadを使います」
家で使っていた音声教科書を…