からっと晴れた冬の空に、組み上げられたばかりの真新しい木材が映える。

 2024年12月の朝、東京都江戸川区。

 住宅街で進む新築工事の現場に、西小松川町会で役員をつとめる住民が集まった。

 建築中の新たな町会会館は、前日に棟上げを終えたばかり。この日は、会長の海老原裕一さん(67)らが、「いの一番」にあたる「い1」と書かれた木材の場所から順に、建物の四隅に塩と米、酒を供え、工事の安全を祈願。「よろしくお願いします」。大工の棟梁(とうりょう)ら工事関係者に頭を下げ、労をねぎらった。

写真・図版
西小松川町会の新しい会館の工事の安全を祈願し、四隅に酒をそそぐ町会長の海老原裕一さん=2024年12月10日、東京都江戸川区、山田史比古撮影

 同じ場所にあった以前の会館は、1965年完成の鉄筋コンクリート造り。海老原さんによると、老朽化が進み、雨漏りなどもしていたという。それを取り壊し、区などの補助金に加えて寄付も募って建設費にあてた新しい会館は、2025年3月に完成する見込みだ。

 新たな会館は、同町会のものだ。

 当たり前のようだが、それが可能になったのは、実はあまり古いことではない。

自治会館の登記は個人名義?

 西小松川町会は、1948年…

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