「もし日本にいたら、この職業は選ばなかったですね」
南半球は秋口を迎えた5月下旬、オーストラリアの最大都市シドニー。フェリーが行き交う港のそばにあるレストランで語学学校帰りの関西出身の女性(26)に会った。
つややかなロングヘアを耳にかけるしぐさには品がある。丁寧にマスカラを塗ったまつげは、きれいに上を向いていた。
女性が豪州に来たのは3月。コロナ禍の規制で休日も自由に外出できない日が続くなか、「後悔しないように生きたい」という思いが強くなった。大学卒業後に就職した会社を辞めて、ここに来た。
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日本を出たのは語学力を磨くためだ。
豪州のワーキングホリデー(ワーホリ)ビザ取得者は、最長4カ月しか学校に通うことができない。「半年は勉強したい」と考えた女性は、学生ビザで入国。通学期間が終われば、ワーホリビザに切り替える予定だ。
豪州に来て約2カ月。「メンタル(の強さ)を問われる局面が多い」と感じる。
その一つが職探しだ。円安で日本円の貯金は減っていく。「とりあえず仕事を始めたい」と、求人サイトで飲食店のホールの仕事など30件以上に応募したが、返信はなかった。「最後の最後」に市内のキャバクラに応募し、採用された。
試用期間中は4時間働き、1…