山あいに日が落ちていく夕暮れ時、遠くから踏切の警報音が聞こえてくる。しばらくして、緩くカーブした単線の線路の向こうから、1両編成の電車がホームに入ってきた。
兵庫県中部の山間部にある、JR加古川線の黒田庄駅(西脇市)。ワンマン運転の電車から5人の高校生が降りると、乗客は2人だけになった。
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加古川線は、加古川駅から途中の西脇市駅までは、通勤通学に使われ本数や乗客も少なくない。ただ、西脇市駅から谷川駅までは2~3時間に1本程度。2022年度の1キロあたりの1日平均通過人員(輸送密度)は237人で、民営化した1987年度の約5分の1に減った。近畿地方の路線で最も少ない区間だ。
黒田庄駅では、87年当時は1日に上り15本、下り14本の列車が行き交っていた。だが、加古川線が電化された04年に設備が撤去され、レールとホームは1本だけに。駅での行き違いはできなくなり、本数はいま上り下り9本ずつに減った。
路線がどれだけ利用されているかを示し、存廃を議論する際に重視される指標「輸送密度」。これだけで直ちに廃止が判断されるわけではありませんが、1千人を切ると維持は難しいとも言われます。広島県庄原市の資料を参考に、もし仮に輸送密度1千人未満(2022年度)の路線が廃止されたら、どれだけの鉄道ネットワークが失われるかを示す地図を作製してみました。
鉄道史に詳しい青山学院大教授の高嶋修一によると、2000年ごろからJR各社は、地方路線を中心に、車両編成の短縮や設備の簡略化などの「合理化」を盛んに進めるようになった。「地方の人口が減り、鉄道事業の経営環境が悪化する中、収益のあがる都市部や、鉄道以外の事業に投資を集中させていった」
元JR幹部の一人は「利用に…