台湾南部の台南市で20年以上続く「春風の歌声」という人気ラジオ番組がある。リスナーと電話をつなぎ、ゲストとやりとりする形式の番組だ。

 2000年前後、この番組で司会を務める康銀寿氏を時々、訪ねてくる人物がいた。

 台南市から選出されて立法委員(議員)になったばかりだった頼清徳(ライチントー)・現総統だった。

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1996年、台湾で憲法改正などの権限を持っていた国民大会(現在は廃止)の代表選挙に立候補した頼清徳氏(中央右)を支援する洪奇昌氏(同左)=洪氏提供

 頼氏は1996年、所属していた民進党内の政治グループ「新潮流」の後押しもあり、憲法改正や総統選出の権限があった国民大会代表(現在は廃止)に当選。99年には国会議員に相当する立法委員に転じ、政治家として着実に歩みを進めていた。

【連載】「海峡のキーパーソン 台湾・頼清徳総統の実像」

中国が「独立派」として警戒する台湾の頼清徳総統が就任して半年を迎えました。そもそも頼氏はなぜ政治を志し、どのような台湾を目指しているのでしょうか。頼氏をよく知る人物への取材を重ねて、実像に迫りました。

「台湾語」ラジオでつかんだ人気

 「普通の政治家とは違うかも…

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