日本でも、研究開発に性差分析を採り入れる動きが出てきているが、「海外に比べるとまだあまり浸透していない」との指摘もある。性差分析はなぜ重要で、進めるにはどうしたらよいのか。横浜国立大学学長特任補佐(ジェンダード・イノベーション担当)の佐々木成江さんに聞いた。

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横浜国立大学学長特任補佐(ジェンダード・イノベーション担当)の佐々木成江さん=本人提供

 ――性差分析の重要性は?

 従来の研究開発では、男性を基準にデータが収集されて、分析されることが多く、女性のデータが十分に反映されていませんでした。ときには命に関わる深刻な問題です。また、性差分析を採り入れることで、より精度の高い研究成果が得られ、新しい発見やイノベーションにつながります。

 性差といっても、男女の体の構造や機能の違いといった生物学的な性だけでなく、性別役割分担など社会・文化的に作られる性の視点があります。例えばうつ病の原因には、社会的な性差も関係していると考えられています。

 ――海外ではどのような取り組みがあるのでしょうか?

 カナダ保健研究機構や欧州委員会、米国国立衛生研究所、韓国研究財団など海外では研究費の助成金申請に性差分析を要求、奨励する機関が増えています。

 また、ランセット、セル、ネイチャーなどの著名な学術誌も、論文投稿の際には研究で性差をどう考慮したか、しなかった場合はその理由について報告することなどを求めています。

 最初は健康や命に直接関わることや、生物学的な違いが表れやすい生命科学系が多かったのですが、近年は工学などその他の分野にも広がりはじめています。

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ジェンダード・イノベーションとは?

 ――日本の状況は?

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 日本では昨年出された202…

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