事件当時、地面師グループに使われた銀行口座の一つ。土地の所有者をかたる名義や仲介業者などから億単位の振り込みがあった=小寺陽一郎撮影

 ネットフリックスで配信中のドラマの題材となった、犯罪集団「地面師」。土地の所有者などになりすまして、買い手から金銭をだまし取る詐欺グループを指す。実際の事件で、被害者をだますために偽の本人確認書類を用意し、地面師たちに加担するのが「ニンベン師」だ。

連載「地面師たち」のリアル

全4回配信します。次回はネットフリックス「地面師たち」を監修した司法書士に話を聞きました。事件以降も不動産取引をめぐる詐欺事件は頻発し、相続をめぐって親族間のトラブルが起きることもあるといいます。

 ニンベンとは、「偽」の漢字の部首を由来とする偽造の隠語で、ドラマ「地面師たち」では、染谷将太さん演じるニンベン師兼ハッカーが暗躍した。

 ドラマのモデルになった、積水ハウスが2017年に約55億円を地面師グループにだまし取られた事件でも、土地の所有者になりすますため、偽造パスポートが使われた。

 「かつてニンベン師と呼ばれた『本物』は、今はもうほとんどいない」。ニンベン師の内情に詳しい、不動産業界関係者の男性はこう話す。

積水ハウス事件をめぐる人物相関図

昭和の時代 暴力団から偽造書類作りを請け負い

 男性によると、ニンベン師たちが暗躍したのは、主に昭和の時代。暴力団などから依頼を請け負って「職人的に偽造書類や偽札をつくる」犯罪者のことを警察がこう呼んで、マークするようになった。

 彼らはどんな事情で、ニンベン師になり犯罪に深く関わっていったのか。

 男性の知人は、戦時中、陸軍…

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