
【ニュートンから】福島第一原発 廃炉の現在(2)
福島第一原発には6基の原発がある。地震発生後,震災時に稼働していた1号機から3号機の原子炉では制御棒が燃料集合体の間に挿入され,核分裂反応を止めて稼働を停止した。
だが,津波によって電源が喪失し,冷却装置が動かなくなった。核分裂が止まっても,燃料は熱を出しつづける。外部からの注水で冷却が試みられたものの,炉心を冷やせなくなって温度が上昇し,原子炉内の水位が低下して,核燃料がとけ落ちる「メルトダウン(炉心溶融)」がおきた。3基の原発は,5重の壁の機能が破壊されてしまった。この事故は1979年のアメリカのスリーマイル島原発の事故,1986年の旧ソビエト連邦ウクライナ共和国のチョルノービリ(チェルノブイリ)原発の事故につづく,世界で3番目のメルトダウン事故となってしまったのである。
デブリが再臨界に至る可能性は低い
1号機と3号機では,燃料棒が酸化して発生した大量の水素が原子炉建屋の上部にたまり,水素爆発がおきて,建屋が大きくこわれた。2号機は,1号機の水素爆発の衝撃で建屋上部の一部のパネルが開き,水素が外部にもれたことで水素爆発は免れた。4号機は定期点検中で,圧力容器内に燃料はなかったが,3号機で発生した水素が配管などを通じて流れこみ,水素爆発がおきて建屋がこわれた。
高温になった燃料は,燃料棒…