頭上に掲げたヤカンから、勢いよく小さなカップに熱いお茶を注ぎ込む。砂糖とミルクたっぷりのソマリ式チャイは、表面がふわりと泡立つ。マキアートのようななめらかな口当たりの後に、茶の渋みが広がる。

  • 愛と思惑のソマリランド(1)「愛してる」 祝祭の「未承認国家」大統領選

 アフリカ北東部の「未承認国家」ソマリランドの「首都」ハルゲイサの「茶飲み場」は、路上にテーブルとベンチを並べただけの露店だ。昨年11月13日、地元の人たちが、1杯2千ソマリランド・シリング(約30円)のチャイを求めて集まり、満席だった。

 茶飲み場は、にぎやかだ。知り合いでも、そうでなくても、横並びになったら、誰でも話しかける。とくに、この日は大統領選の投票日だった。政治談議が盛り上がらないはずがない。

ソマリランドの投票所の中で、選挙管理委員会の担当者から投票用紙を手渡される有権者=2024年11月13日、ハルゲイサ、今泉奏撮影

「カート」売りの女性店主が初めて投票した理由

 客の一人が「ずっと不景気だ…

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