ひときわ長い行列ができる屋台の前で、串に刺さった肉厚のハムが、炭火の網の上でジュジュ~っと音を立てて焼ける。香辛料と豚肉の脂がとろける甘く香ばしい匂いが、煙とともに辺りいっぱいに広がった。
「うちのハム焼は、800メートルぐらい先まで香りが届くんだ」
2024年9月、国営ひたち海浜公園(茨城県ひたちなか市)で開かれたロック・イン・ジャパン・フェスティバル(通称ロッキン)。松林に囲まれたエリアに店を構えていた有限会社「五浦ハム」社長の小泉重信さん(72)は、笑みを浮かべた。
このフェスの期間中、主催者がアプリで紹介したフェス飯のメニューのなかで最も多い、6600を超える来場者の「いいね」がついた自慢の一品だ。1本600円。多い年は、5日間の開催期間中に数万本が売れるロッキンを代表するフェス飯の一つだ。
「みなと屋の林」に出店
創業27年。手作りハムの職…