800席以上ある劇場が高齢者でほぼ埋まっていた。英国の選挙取材で初めて、有権者の「熱」を感じさせる現場だった。

 6月18日夜、英イングランド南東部クラクトン。改革党のナイジェル・ファラージ党首(60)がステージに上がる。顔をくしゃくしゃにして、両手を広げ、大きな拍手に応えた。

 この地で総選挙に立候補している。「すでに48店のパブに行きましたよ」。身ぶり手ぶりを交えて笑いを取る。まるで、スタンダップコメディアンのようだった。

改革党のファラージ党首=2024年6月18日

 「ブレグジットは率直に言って、保守党によって裏切られたのです。英国は壊れている。改革が必要だ。もはや何もうまくいっていない」

 英国の欧州連合(EU)離脱を引き合いに出し、聴衆をあおる。1990年代からブレグジットを推進してきたファラージ氏。99~2020年まで欧州議会議員を務めた一方、英総選挙・補選では94~15年に7回落選している。

 今回の総選挙は、長年良好な関係を保つトランプ氏の米大統領選の応援のために「出ない」と公言してきたが、6月3日に突然立候補を表明した。

■ファラージ氏、なぜ人気? …

共有