昨年6月にアルゼンチンで出産したアナスタシアさん(左)と夫のアルセニーさん。「最高の出産体験だった」と喜ぶ=2024年11月、ブエノスアイレス

【特集】ウクライナ侵攻3年 平行世界(パラレルワールド)

ロシアによるウクライナ侵攻から3年。戦争で引き裂かれ、交わる機会を失った二つの国で、同じ問いにそれぞれの立場から答えてもらった。

 おしゃれなレストランやカフェが並ぶブエノスアイレス中心部のパレルモ地区。その一角にあるレストランの店内は、天井や壁に低木や石が飾られている。

 店名はスペイン語でコケを意味する「ムスゴ」。ロシア人経営者のコンスタンチンさん(38)は「(アルゼンチン南部)パタゴニア地方の食材に日本風の調理法、北欧のシンプルなスタイルを組み合わせた独自の料理をつくった。自然を結ぶ意味を込めて名付けた」という。

 最も人気がある料理は、アルゼンチンの牛肉の天ぷら。肉の質が高く、中身は生のままで、自家製のポン酢で味わってもらうという。

 コンスタンチンさんと妻のクセニアさん(28)がアルゼンチンに移住したのは2022年12月。妊娠9カ月の時だった。最初は欧州に行くつもりだったが、定住の手続きが厳しく、SNSで知ったアルゼンチンに移った。

ロシア人の滞在申請、2年間で50倍に

 コンスタンチンさんは20年…

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