胸まである髪にはゆるいウェーブがかかり、ふんわりした白い洋服が柔らかい雰囲気を醸し出す。
浅草花やしきを拠点に活動していたアイドルグループ「花やしき少女歌劇団」のメンバーだった大橋妃菜さん(24)はいま、美容サロンでまつげや眉毛など目元をケアするアイリストとして働く。
私が初めて取材したときは高校生だった。
歌劇団のメンバーで、18歳で亡くなった木村唯さんよりは三つ年下。歌劇団では2期後輩だったが、なぜか気が合った。一番仲がいい親友として、姉妹のように一緒に過ごした。
親友の死を受け入れられず、ボロボロ泣いた
唯さんと2人で「SUMMER!フラワー」というユニットも組んで、花やしきでライブを開催した。唯さんが亡くなる3カ月半前のことだ。
出会いから、絆を深めた気持ちを2人で作詞したオリジナル曲「思い出の足跡」を一緒に歌った。
だから、唯さんが亡くなったことを受け入れるなんてできなかった。
「そんなに悪いとは知らなくて、絶対に戻ってくると思っていた」
当時はまだ中学3年生だった。校内の合唱コンクールに向けて、いきものがかりの「YELL」を練習していた。
《サヨナラは悲しい言葉じゃない》《ともに過ごした日々を胸に抱いて》といった歌詞に自分の気持ちが重なって、ぼろぼろ泣いた。
「唯ちゃんと話してくる」と言っては、自宅マンション最上階の踊り場に上がって時間を過ごした。
オーディションには合格したけど
高校卒業後、アイドル活動を…