
ネガティブに語られがちな「50代」に、希望の話をしたい――。働き方評論家の常見陽平さん(50)は、近著「50代上等! 理不尽なことは『週刊少年ジャンプ』から学んだ」(平凡社新書)にそんな思いを込めたといいます。人生の折り返し地点で転職やキャリアをどう考えたらよいか、聞きました。
――「50代上等!」という、直球のタイトルです。なぜこのテーマを選んだんでしょうか?
仕事などで会う同世代の人から、「私たちのための、ごく普通の50代のための本を書いてよ」という声をもらっていました。しかし老後の不安、労働問題など、ネガティブなテーマはすでに多くが語られています。たまには希望の話をしたいと思い、50代のための「明るい処世術」としてこの本を書きました。
氷河期で広まった「自己責任グセ」
――常見さん自身、2024年4月に50歳を迎えました。いわゆる「ロスジェネ世代」でもあります。50代が抱える生きにくさとはどこにあると感じますか?
年の取り方がわからない、というのがひとつあると思います。僕は大学に入ると就職氷河期で、社会に出てからは山一証券、北海道拓殖銀行の破綻(はたん)など日本経済の課題が次々にやってきました。
「がんばれば課長になれる」といったモデルがいきなりなくなり、年齢を重ねても安泰にならない。やがて国が「人生100年時代」を掲げ、一生働いていく社会が見えてきました。年齢に応じた「老け方」を社会が許してくれず、いつまでも若いと思っていたら、いつの間にかたそがれ研修、役職定年が目の前に迫っている。「一生、僕らの時代が来ないんじゃないか」。そんな感覚があります。
また同世代と話していて実感するのが、「自己責任グセ」に毒されている、という点です。
50代を前向きに生きるための「エア転職」「中の上理論」。週刊少年ジャンプから学んだ理不尽とは…常見さんが語り尽くします
――自己責任グセ?
なにか失敗をしたときに、公…