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地域文化商社「うなぎの寝床」創業者・顧問の白水高広さん=福岡市西区今宿駅前1丁目
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 もんぺを「日本のジーンズ」としてリバイバルするなど、地域で培われてきた文化を、現代になじむ商品やサービスにして発信する地域文化商社「うなぎの寝床」。創業者で顧問の白水高広さん(39)は、「実験的にやってみた」を積み重ねるうちに、幅広い事業に携わることになった。

Changin’(11)

2025年は巳年。脱皮を繰り返し成長する蛇のように、「変化」しながら前に進む九州ゆかりの人たちに話を聞きました。

 「うなぎの寝床」は2012年、福岡県筑後地方のものづくりのセレクトショップとして八女市でスタートしました。地域文化商社と名乗るようになったのは18年ごろからです。

 ものづくりや食といったその土地ならではの文化が全国にありますが、そこにあるだけでは人知れず無くなっていってしまう。商品として使ってもらったり、ツーリズムで体験してもらったりして、知ってもらうための活動をしています。

 《「文化の保護」を目的化するのではなく、持続していくために重視していることがある》

 その土地の特性をくんでいるか、どういう人たちが手がけているか、そして経済的に回せるか。品物を無理に使うのではなく、「今の生活でこれ、使えるよね」という視点を大事にしています。後世に残すのは難しいという判断になっても、アーカイブ化する努力は必要だと考えています。

 《好例がもんぺだ。戦時中に活動衣として普及し、戦後は動きやすさから農作業着として使われた。筑後地方では久留米絣(かすり)のもんぺが作られていたが、洋服の普及や農業人口の減少で、製造も縮小していた》

 妻の母方の実家は久留米絣の織元ですが、絣といえば婦人の着物ばかりだと思っていました。それが、十数年前にもんぺを試着してみたら、すごく着心地が良かった。「これ良いな、もっと知ってもらいたいな」と。

 八女市や隣の広川町の織元に…

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