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次世代型路面電車(LRT)開業1周年記念イベントでは、車両の前で記念撮影する場所が設けられた=2024年8月25日午前10時56分、宇都宮市、石原剛文撮影

 雷をイメージした黒と黄色の低床車両が滑るように走る。人々の目線を奪う奇抜なデザインの次世代型路面電車(LRT)は、これといった名所がなかった宇都宮駅東側の景色を一変させた。

 「かつては畑が広がり、ぽつんぽつんと家があるだけだった」

 宇都宮市で不動産賃貸業を営む阿久津正躬(まさみ)さん(78)は、自宅周辺の一変ぶりを驚きをもって見つめる。

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発車号令とともに宇都宮駅東口停留場を出発する次世代型路面電車(LRT)=2023年8月26日午前11時40分、宇都宮市宮みらい、柴田悠貴撮影
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宇都宮市と栃木県芳賀町を結ぶ次世代型路面電車(LRT)=2024年7月2日午前11時31分、宇都宮市、石原剛文撮影

 1990年代後半から造成されたニュータウン「ゆいの杜(もり)」は、LRT開業と停留場の設置を見越して次々と住人が増え、ここ10年ほどで戸数は2倍以上に膨らんだ。スーパーや薬局、飲食店も集住に合わせて増え「農村から都市に変わった」という。

 将来の免許返納を見越し、みずから車を運転して通っていた病院までの移動手段をLRTに変えた。阿久津さんは「車を運転しなくなっても、魚の背骨のような基幹交通が存在すれば安心だ」と語る。

 開業1年に合わせた8月25日の記念式典。宇都宮市の佐藤栄一市長(63)は「これで終わりではない。公共交通を充実させ、環境に優しいまちをつくりたい」と力を込め、県都の中枢や繁華街が集中する駅西側への延伸こそ、事業の成否を分ける本丸と位置づける。

 東北新幹線とJR宇都宮線、日光線などが交わる宇都宮駅東口から隣接する芳賀(はが)町の工業地域を結ぶ計14・6キロのLRTは、2023年8月に開業した。沿線には、ショッピングモールや大学はあるが、それ以外は、ほかの地方都市と変わらぬ住宅街や田園地帯が広がる。

 そこに開通したLRT1年目の「成果」は、関係者を驚かせた。

渋滞対策から空洞化対策へ

 開業1年余りで利用者数は5…

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