ニューロダイバーシティー(神経多様性)と名のついたオルタナティブスクールが9月、東京都港区にできた。脳や神経に由来する発達の特性を「障害」ではなく、「多様性」としてとらえようという取り組みだ。

 アトリエの中で女の子(8)が筆を持ち、黄緑色の絵の具を紙に塗っていた。次の瞬間、ボトルを逆さにすると、大量の絵の具が紙の上へ。それを両手ですくいとり、顔に近づける……。

 「Good idea!(いい考えだね)」

 意外な声かけをしたのは、コレット・ライアンさん(62)。「彼女は見て、触って、においをかいで、絵の具を感じ取っている。それが彼女にとって安心できる方法だし、彼女なりの感じ方なんです」

 「ニューロダイバーシティ・スクール・イン・東京」(NSIT)は、NPO法人が運営するオルタナティブスクールで、4~11歳の11人が通う。うち、自閉スペクトラム症、ダウン症などとされる子は10人。外国ルーツの子も9人いて、合計6、7カ国に及ぶ。子どもやスタッフが使うのは主に日本語と英語だが、スペイン語を話す子もいるし、発語がほとんどない子もいる。

人種、障害など、多様な人々が描かれたおもちゃで遊ぶ勇樹くん

 「進化をたどる7億年の旅」という絵本に見入っていた勇樹くん(4)も、発達検査で発語の遅れを指摘された一人だ。

 大好きな恐竜の名前はとてもよく覚えているが、同年代の他の子と比べて話す言葉が少ない。幼稚園や療育に通い始めて少しずつ言葉が出るようになったが、興味が持てない活動の時は寝転がったりぼーっとしたり、所在なくしていることが多かった。

 小学校に入るときのことを心…

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