東京都が主催した「結婚おうえんイベント」。のべ約400人が参加した=2024年5月18日午後3時32分、東京都千代田区、松田果穂撮影

 「結婚どころではなかった」と配達員の男性(48)は口を開いた。

 東北地方の地元から、大学は東京都内に。社会に出た2000年前後は、まだ就職氷河期のただ中だった。

 卒業時に「内定」は一つもなく、飲食店のアルバイトなど職を転々とした。たびたび体調を崩し、満足に働けないときもあった。

 20~30代の収入は、手取りで平均14万~15万円ほど。埼玉県境に近い、駅から徒歩20分のアパートに住み、月5万円の家賃と、光熱費、交通費、持病の医療費を払い、さらに実家に仕送りをすると、いつも財布は「カツカツだった」。食事はカップ麺や菓子パンばかり。給料日前に断食したこともあったという。

 やっと生活が安定してきたのは、2年前、現在の配送会社にパート社員として勤めるようになってからだ。少しずつ増える貯金とともに、膨らみ始めた思いがあった。

 「結婚して子どもがほしいという希望を、まだ捨てていない」。男性は、自治体主催の婚活イベントに参加するなどしている。

少子化の背景にある「未婚化」と「晩婚化」

 未婚の人が増えている。

 50歳時点で未婚の人の割合を示す「生涯未婚率」は、男性28.3%、女性17.8%(20年)。計算方法は当時と異なるが、1990年より、男性は22ポイント、女性も13ポイント増えた。

 東京は全国で最も高く、男性…

共有