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フリーランスのグラフィックデザイナーとして活動する女性。取引先とのやりとりを理不尽に感じても、「泣き寝入りするほかなかった」という=2024年10月26日、東京都港区、高島曜介撮影

 東京都内のグラフィックデザイナーの女性(54)は6年ほど前から、イベント用の広告やホームページの作成などをフリーランス(個人事業主)として企業から請け負ってきた。

 「デザイン一式」「前回と同じで」。発注内容はいつもあいまいで、契約書もない。

 2022年、商業施設のイベント広告の作成を広告会社から委託されたことがあった。チラシ4ページ分で、バナーとポスターを含めた報酬は50万円の約束。だが、制作途中に6ページに増やすよう求められた。報酬を増やしてと訴えたが、返事は「最初の予算で組んでいる。それ以上の返答はできない」だった。

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フリーランスの女性が問い合わせた広告作成の報酬額について、発注者から届いたメール。「詳細金額を想定していない」とある=女性提供(画像を一部加工しています)

 フリーランスという働き方を守る法律が、11月1日に施行されます。発注業者である企業などから不当な取引を強いられることを防ぐと期待される一方、当事者の間には不安も残ります。

報酬「2分の1」でも泣き寝入り

 当初の話では、同様の広告を…

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