愛知県高浜市役所の税務窓口で、事件当時の様子を説明する市職員。テーブル(右手前)付近で男はペットボトルの液体をまき、その後、コピー機(中央)付近で自身に火をつけたという=2024年7月17日午前7時52分、愛知県高浜市青木町4丁目、前川浩之撮影

 愛知県高浜市役所に60代の男が侵入し、灯油とみられる液体を自分にかけるなどして火を付けた事件で、男が市民税と国民健康保険税を計100万円以上滞納していたことが17日、市への取材でわかった。市は男側と2年前から税に関するやりとりがあり、県警は市役所とトラブルがあったとみて調べている。

 男は16日、建造物侵入容疑で現行犯逮捕されたが、全身にやけどを負ったため、県警は治療を理由に釈放した。捜査関係者によると、男は16日午後2時55分ごろ、市役所1階の税務窓口を訪れて短刀(刃渡り約30センチメートル)を振り回し、その後液体を自分にかけ着火したという。職員3人も軽傷を負った。県警は男が所有する軽乗用車で市役所を訪れたとみて、男の回復を待って詳しい経緯や事情を聴く方針。(奈良美里、松本敏博)

相次ぐ行政対象暴力、高まる「備え」の重要性

 高浜市の事件をはじめ、行政への「暴力」が相次ぐ中、日頃の備えの重要性は高まっている。

 「対応マニュアルを準備したり研修をしたりして、不測の事態に応じられる体制づくりに努める」。事件から一夜明けた17日朝、高浜市の吉岡初浩市長は報道陣の取材にそう語った。同日、市役所では通常の窓口業務を始めた。

 市によると、男は16日午後2時55分ごろ、市役所1階の税務窓口で、短刀を手に液体をカウンター付近でまいた。職員らは、職場に備え付けのさすまたで男を近づけないようにした。男はカウンターの中に入り込み、液体をかぶってライターで自分に着火。だが、職員がすぐに消火器で消し止め、4、5人の職員で男を取り押さえた。

 市幹部の一人は「さすまたを使う訓練もしており、今回は迅速に対応できた」とふり返る。ショックを受けた職員については面談などでケアもするという。

 行政に対する暴力は、各地で…

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