武雄アジア大への補助について説明する武雄市の小松政市長=24日、武雄市役所

 佐賀県武雄市は24日、31日に開会する6月定例市議会に、学校法人旭学園(佐賀市)が2026年の開学をめざしている「武雄アジア大学」への約13億円の財政支援を提案すると発表した。県も約6億5千万円を補助する方向で、同大学への支援は合わせて約19億5千万円となる見込みだ。

 市の財政支援は来年度に支出する債務負担行為として、補正予算案に計上する。市は、開学後のキャンパス用地を約2億円で貸し付けるとしていることから、実質の支援は約11億円と想定している。

 市などによると、武雄アジア大学の総事業費は約36億円。「東アジア地域共創学部」(仮称)に、「観光力・地域マネジメント」と「韓国・メディアコンテンツ」(いずれも仮称)の2コースを設け、1学年の定員は140人。

 補助は、文部科学省から設置認可を受けることを条件に交付する。市は、合併振興基金と土地開発基金をあて、災害時の復興費用などにもあてる財政調整基金は使わないとしている。小松政市長は「大学を誘致することで、市民サービスが低下することはない。健全な財政運営との両立を考えている」と述べた。

 県の財政支援は、6月13日に開会する県議会に提案する補正予算案に、債務負担行為として計上する方向で、最終調整の作業を進めている。

 県は旭学園と市から財政支援の要請を受けていたが、県によると、私立大学の新設にあたって現在は国の補助はなく、自治体の負担割合についても定まった方式はないという。

 県は現在、県立大設置を目指して具体案を検討中だ。県内から毎年3千人近い学生が県外に進学していることから、県内で進学の受け皿となる高等教育機関を増やす狙いがある。県立大の1学年の定員は200~300人を予定しており、武雄アジア大学の定員と合わせても「まだまだ足りない」(担当者)としている。

 山口祥義知事も23日の定例会見で、「不足感」を指摘し、「自らの建学の精神をもって大学をつくっていきたいという声があれば、支援していきたい」と述べ、武雄アジア大学に限らず、今後さらに私立大設立の動きがあれば支援する意向を示した。

 18年に西九州大看護学部が新設された際は、看護師の育成に対する国の補助スキームにのっとり、所在地の小城市が7億円強、県が4億4千万円を補助したという。(三ツ木勝巳、渕沢貴子、岡田将平)

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