北陸新幹線の福井開業をにらみ、2023年3月に投入された福井鉄道の新型車両=2023年2月25日午前11時3分、福井県越前市北府、長屋護撮影
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 経営再建中の福井鉄道(福井県越前市)の経営状況などを話し合う「再建スキーム管理部会」が9日、本社で開かれ、2023年度の鉄道部門の福武線の利用者は前年度比2・8%増の192万5千人となったことが報告された。3年連続で増加したが、コロナ禍前の19年度の198万8千人には届かなかった。

 北陸新幹線の福井開業後の3月16~31日の利用は3万4千人で、前年の同時期と比べて31%増えた。ただ、沿線に県立恐竜博物館(勝山市)など人気の観光地がある、えちぜん鉄道の同じ時期の利用が70%増の8万3千人だったことから、新幹線効果は限定的だった。

 昨年10月にダイヤ改定で運行本数を約2割減らすきっかけとなった運転士の不足は、定員28人に対して一時20人となったが、23人まで回復。利用者の減少も懸念されたが、利用が少ない時間帯を中心に減らしたため、「大きな利用減にはならなかった」とした。

 同社の鉄道部門は、07年に債務が膨らんだことから自主再建を断念し、沿線自治体に支援を要請。国と県は設備更新の費用などを、沿線3市(福井、鯖江、越前)は維持修繕費などを支援するスキームが08年に立ち上がった。

 利用者は08年の160万6千人から18年には204万4千人まで回復。今後は、通勤に利用してくれるなど「サポーター企業」を増やしたり、観光列車など鉄道旅行事業を強化したりして、27年までに220万人という目標を達成したい考えだ。(長屋護)

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