福祉施設が林業を支援する「林福連携」という取り組みが進められている。高い技術力を持つ埼玉県の福祉作業所は、デザイン会社やNPOと連携して意匠性に優れた製品を生み出し、こうした取り組みが広がることを願っている。
埼玉県深谷市にある障害福祉サービス事業所「川本園」。敷地内には丸太や、板や角材に製材された木材が置かれ、建物内では、知的障害がある施設利用者が、電動のノコギリやかんなを使って、決められた寸法に切ったり、表面を削ったりしていた。コンピューター制御の高性能加工装置も導入しており、新鋭の製材会社のようだ。
別の建物では、5センチ四方ほどに加工された木材を利用者が磨いたり、色をつけたりしていた。
「製材、乾燥から仕上げまですべての工程を行っている。そうすることで40人いる施設利用者全員に、障害の程度に応じた作業をしてもらうことができる」。川本園を運営する社会福祉法人・幸仁会の田中初男理事長が説明した。
使われている木材の多くは、埼玉県中央部森林組合が伐採し、丸太にした地元・埼玉産のヒノキだ。
川本園ではかつては竹を加工…