東京電力福島第一原発で24日、外部から電力の供給を受ける系統の一部が停止し、処理水の海洋放出が止まるトラブルがあった。敷地内の掘削作業で、関連する系統のケーブルが損傷したことが原因とみられる。
東電によると、24日午前10時43分に停電が発生。それに伴って今月19日から行われていた5回目の処理水の海洋放出が自動的に止まった。このほか、災害時に対策本部を設置する「免震重要棟」の電源が一時的に失われた。
停電が発生した同じ時刻に構内では、電源喪失した系統のケーブル近くで掘削作業が行われていた。東電は、作業によりケーブルが損傷したことが停電の原因とみている。また、掘削作業にあたっていた作業員の1人がやけどを負ったという。
使用済み核燃料や溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の冷却設備などはバックアップの系統に自動的に切り替わったため、運転に影響はなかった。原発周辺の放射線量を測定するモニタリングポストの値に変動はみられていないという。
東電によると、処理水の海洋放出も同様に別の系統に切り替え、24日午後5時16分に再開された。予定していた放出の完了時期に影響はないという。
24日は、国際原子力機関(IAEA)の調査団が安全性の確認などのため、海洋放出開始後2回目となる現地調査に入っていた。(矢田文)