1995年の阪神・淡路大震災から30年が経った。街は息を吹き返したが、未曽有の災害は地域経済や街づくりに「ボディーブローのように効いた」(久元喜造神戸市長)とも言われる。地元経済人は、この30年とこれからをどう見るのか。
「都市力が低下」「劇的に変われる可能性」
被災地・神戸を地盤とする企業のうち、白鶴酒造、アシックス、エム・シーシー食品、神戸阪急、大丸神戸店の幹部たちに、震災後の神戸、これからの神戸を語ってもらいました。
阪神大震災の被害総額は約10兆円。建物被害は住宅以外でも約4万棟に上り、多くの企業が打撃を受けた。白鶴酒造(神戸市東灘区)もその一つ。木造の蔵は倒壊。鉄筋造りの蔵でも、貯酒タンクが倒れ、酒の多くが流れ出た。
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- 経済の傷痕深く、全国との差なおも 阪神大震災・被災地の30年
社長の嘉納健二氏(53)は震災直後に入社した。他社のタンクを借り、被災せずに残った酒をなんとか出荷につなぐ。調整にあたる日々が続いた。取引先が、支援物資をトラックで運んでくれたこともあった。
そこから30年。嘉納氏は被…