中居正広さん=2020年2月21日、東京・六本木

 元タレントの中居正広さんと女性との間でトラブルが起き、週刊文春などがフジテレビの幹部社員が関与していたと報じた問題。中居さんは示談の成立によって「守秘義務がある」として、トラブルの詳しい内容の説明をしないまま、引退の表明に至りました。示談の際に守秘義務を課す「口外禁止条項」を設けていたとみられます。どんなものなのでしょうか。

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 口外禁止条項は、何らかのトラブルについて当事者同士が話し合いによって解決に至る際に、トラブルの詳細や示談の内容、解決までの経緯などを第三者に公表しないと確認する取り決めのことです。

 話し合いで双方が合意すれば条項に盛り込むことになります。示談書に「本件について第三者に口外しないことを誓約する」などと書き込むのが一般的です。

労働事件や刑事事件でも

 トラブルの内容が広く社会に知られることにより、その後の仕事や活動などへの悪影響を抑える目的があります。労働事件や異性間のトラブル、刑事事件などさまざまな場面で使われています。

 民事裁判の判決で相手に賠償をさせようとすると、被害の内容を証明するのに時間がかかるうえ、経済的にも精神的にも大きな負担がかかります。判決となった際には公開の法廷で言い渡されるため、第三者に知られる可能性も高まります。

 一方、示談によって双方が合意して「解決金の支払い」などで話がまとまれば、裁判ほど時間をかけずに済みます。口外禁止条項を盛り込めば、社会的評価への影響も抑えられます。

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「違約金条項」設ける場合も

 確実に秘密を守るため、守られなかった際は相手にお金を払わせるという「違約金条項」を設けるケースもあります。

 ただ、この場合は相手がどのように口外禁止条項に違反したかを具体的に証明しなければならず、ハードルが低いとはいえません。

 例えば口外禁止条項の内容がメディアに報道されたとしても、口外禁止条項の取り決めにそれらのメディアが拘束されるわけではないため、当事者の名誉を不当に傷つけるものでなければ報道の法的責任が問われることはありません。

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