模擬戦で空砲を撃つ155ミリ榴弾(りゅうだん)砲=2023年10月22日、岡山県奈義町の陸上自衛隊日本原駐屯地、大野宏撮影

 ウクライナが必要としている155ミリ砲弾をめぐり、日本政府は一時、在庫不足に悩む米国へ輸出することで間接的にウクライナ支援をすることを水面下で検討していた。複数の政府関係者によると、侵攻開始以降、日本国内の生産ラインで155ミリ砲弾を製造し、米国に輸出してほしいとの要望が複数のルートで非公式に寄せられたという。

  • 【米国工場ルポ】米国、れんが造り工場で砲弾増産急ぐ ウクライナの「生命線」の現状
  • 【欧州の状況】「砲弾不足の状況悪化」 欧米頼みのウクライナ、自国生産がカギに

 ただし、155ミリ砲弾は英国企業の許可を得て国内で製造する「ライセンス生産品」にあたり、武器輸出を制限する防衛装備移転三原則の運用指針でそもそも輸出できなかった。政府・与党は2023年4月に始めた運用指針の見直し論議で輸出解禁を検討。ただ、翌月に広島での主要7カ国首脳会議(G7サミット)に出席したウクライナのゼレンスキー大統領から日本に対する軍事支援の要望はなかったことから、155ミリ砲弾をめぐるウクライナ支援の議論は下火になったという。

すでに米国への輸出を決めた兵器も

 一方、その後に米国が日本側…

共有