石破茂首相は5日午前、就任後初の地方視察として、能登半島地震に続いて記録的な大雨に襲われた石川県輪島市に入った。午後は珠洲市に移動する。元日の地震では関連死も含めて401人、9月の大雨では14人が命を落とし、大雨による1次避難所で492人が避難生活を送る。被災者は、政治に何を求めるのか。
突然の解散表明に「えっ?」
石破氏は9月30日、自民党の新執行部発足を受けた記者会見で、衆院選を10月27日投開票の日程で実施する意向を表明した。
輪島市の女性(76)は、「えっ?」と思った。
「まだこの状態なのに選挙って、ちょっと、いかがなものかと。県内外から義援金いただいてるから、そんなこと、言っちゃいかんのかもしれんけど」
女性の自宅は元日の地震で半壊し、8月中旬まで避難所で暮らした。輪島市宅田町の仮設住宅に入ることができて、わずか1カ月後、今度は豪雨に襲われた。
9月21日朝、雨が激しさを増す中、女性は震災でつぶれてしまった車の代わりに購入した中古車が水につからないかを気にかけていた。
ところが突然、床板に亀裂が入り、水が一気に室内に入ってきた。
冷蔵庫が倒れ、洗濯機が浮き、テレビは水没した。
水位はさらに上がり、女性は胸まで水につかりながら、隣室の男性に手を引いてもらって避難した。
地震の後、避難所で暮らす間は、愛猫2匹を支援団体に預けていた。仮設住宅に入り、やっと一緒に暮らせるようになったと思ったら、たった1カ月で、また避難所暮らしに。猫は再び預かってもらうことになった。
車は水につかって壊れた。被災者向けの無償のカーシェアリングは希望者が多すぎて順番待ち。被災者に無料開放されている入浴施設に行くにも、友人に車に乗せてもらわなければならない。毎日は申し訳なくて、遠慮している。
被災者が政治に求めるものは
浸水した仮設住宅は、川のす…