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記者会見で解散総選挙を表明した石破茂総裁=2024年9月30日午後3時1分、東京・永田町の自民党本部、菊池康全撮影

 自民党の石破茂新総裁は、1日召集の臨時国会での首相指名選挙を経て第102代首相に選出され、石破新内閣が同日午後発足する。石破氏は臨時国会で衆院を解散し、27日投開票の日程で衆院選を行う方針。早速国民の審判を受ける石破内閣の顔ぶれからは、安全保障政策を重視する「石破カラー」とともに、総裁選の「論功行賞」の側面もにじむ。

 岸田内閣は1日午前の閣議で閣僚の辞表を取りまとめ、総辞職した。岸田文雄首相は「先送りできない課題に正面から向き合い、経済、社会、外交の各分野において『変化を力にする』取り組みを着実に進めてきた。自民党の政治資金をめぐる問題に端を発し、国民の政治への信頼を揺るがす事態を招いたことは遺憾だ」との談話を発表した。自民党派閥の裏金事件で総裁選出馬を断念した首相の在職日数は1093日。戦後35人の首相の中で岸信介元首相(1241日)に次ぐ歴代8位で、政権の幕を閉じた。

 1日午後に発足する石破内閣は初入閣が13人。裏金問題で政治資金収支報告書の不記載が発覚した議員は起用せず、安倍派からの入閣は見送る。石破氏を含めると無派閥議員が全体の6割の12人を占める。平均年齢は63.6歳で、2021年10月の第1次岸田政権発足時の61.8歳を上回る。

 新内閣の顔ぶれからは、安保政策を重視する石破氏の姿勢が強く打ち出されている。

 外相に就く岩屋毅衆院議員(67)=無派閥=と、防衛相に就く中谷元衆院議員(66)=無派閥=はいずれも防衛相経験者で、石破氏に近い。閣僚以外でも、首相補佐官には防衛副大臣経験者で知米派として知られる長島昭久衆院議員(62)=二階派=を起用。政務秘書官には、自身が防衛相時代に大臣秘書官をつとめた槌道明宏元防衛審議官(64)を充てる。

 安保政策に詳しいベテランを配置し、総裁選で公約に掲げた日米地位協定の改定や「アジア版NATO(北大西洋条約機構)」創設への意欲を示す陣容と言える。

 総裁選の「論功行賞」が目立つのも特徴だ。

 石破氏の推薦人20人のうち、外相に就く岩屋氏を含め6人が入閣する。旧石破派のメンバーで、21年の派閥解消後も最側近として石破氏を支えた赤沢亮正財務副大臣(63)=無派閥=は経済再生相、平将明党広報本部長代理(57)=無派閥=はデジタル相に、それぞれ初入閣させる。

 石破氏と総裁選を争った8候…

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