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記者会見に臨む自民党の石破茂新総裁=2024年9月27日午後6時31分、東京・永田町の党本部、岩下毅撮影

 自民党の新総裁が、石破茂元幹事長(67)に決まった。次の首相に望むことは。

 神戸市の建設会社員、藤原祐弥さん(22)は、「僕らは将来が見えない。若者に希望を持たせる政治をしてほしい」と話す。

 公共工事などの施工管理を担うが、近年の原材料費の高騰を価格転嫁できず、「うちが泣くしかない。おかげで人件費も上がらない」という。

 建設業の現場では人の入れ替わりが激しく、若い世代は低賃金や厳しい労働環境のためすぐにやめてしまう。

 「家庭を持ちたいけど、今の経済状況では踏み切れない」。買いたかった車もどんどん値上がりしていき、ついに中古でも年収並みの金額に。購入は、1年前にあきらめた。

 今春から時間外労働の上限規制の適用が始まり、土曜休みの現場が増えた。「給料が減った」と職人が嘆くのを耳にする。

 「働き方改革をするなら、中途半端にやるのではなく、収入保証も考えてほしい」

「子どもにお金をかける社会に」「思いやりの政治を」

 埼玉県の会社員男性(43)は「教育にお金がかかる子育て世代に手厚い政治を」と望む。

 夫婦共働きで、3人の子どもは高3、中2、小6。私立高の学費や塾通いで「教育費がばかにならない」。下2人は公立の中高に行ってもらうしかないとも思う。最近は大学の学費値上げの話題も気がかりだ。

 「少子化が叫ばれる割には、2人3人子どもがいる家庭が余裕を持てない社会になっていると感じる。防衛予算の増額何兆円と聞くと、せめてその少しでも教育や子育てに回してと思う。子どもにきちんとお金をかけることが、豊かな社会につながるはずです」

 東京都新宿区内のアパートで一人暮らしをする無職の女性(72)は「弱い立場の人に思いやりのある政治を」と願う。

 3年ほど前まで続けていた弁当屋のパートは腰や関節の痛みが悪化してやめ、今は生活保護を受ける。物価高や電気代の高騰で生活はギリギリ。この夏は、扇風機でしのごうとして熱中症になったこともある。

 食費を切り詰めるため、夕方、弁当が半額の200円台になったことを見計らって買いに行く。好きな本も買えず、「長生きしたら迷惑をかける」と気に病んでいるという。

 「首相になるような人は、生活に困った経験もないのではないか。貧しい人たちのところに足を運んで、どんな生活をして、何を感じているのか知ってほしい」

地元からは期待と注文

 石破氏の地元・鳥取県で観光…

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