自民、公明両党が少数与党として臨んだ臨時国会が24日に閉会した。石破茂首相は記者会見を行い、「比較第一党として、他党の皆様方のご意見を丁寧に承り、可能な限り幅広い合意形成を図るように一生懸命努力した」と振り返った。

 約1カ月前の開会時の所信表明演説で言及したのは石橋湛山元首相の施政方針演説の一節だった。「国政の大本について、常時率直に意見をかわす慣行を作り、おのおのの立場を明らかにしつつ、力を合わせるべきことについては相互に協力を惜しまず、世界の進運に伍(ご)していくようにしなければならない」

 東洋経済新報の記者だった湛山は戦後に政界へ転じ、1947年に「自由思想協会」を立ち上げる。戦後の積み重なる問題を解決するには自由に考え、批判も含めて率直に意見をかわすことが重要だと考えたからだ。自由思想は、戦前から日本の植民地政策放棄を訴えるなどしてきた湛山の素養だったように思う。

 経験に裏打ちされた言葉には説得力が備わるが、最近は政治家のそんな言葉に出会うことは少ない。

 今年後半の政局の始まりとな…

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