2022年4月に観光船「KAZUⅠ(カズワン)」の沈没事故があった知床半島=2024年9月18日午後2時42分、北海道・知床半島、朝日新聞社機から、恵原弘太郎撮影

 2022年4月に起きた知床観光船「KAZUⅠ(カズワン)」の沈没事故で、乗客の家族らが運航会社「知床遊覧船」と桂田精一社長(61)に損害賠償を求めた訴訟で、札幌地裁は20日、第1回口頭弁論を来年3月13日に開くことを決めた。原告弁護団によると、6家族計13人が意見陳述する予定という。

 桂田氏側は、11月29日付で答弁書を地裁に提出。原告側が追及する会社対応の悪質性と桂田氏の法的責任の全てを否定し、慰謝料額を争う姿勢を示している。

 原告側は訴状で、昨年9月に国の運輸安全委員会が公表した報告書をもとに、「幾重にも定められていた安全のためのルールを同社がことごとく無視、軽視したこと」が事故の原因だと指摘。船のハッチに不具合がある状態で、荒天が予想されていたのに出航させたという重大な過失があったとして、豊田徳幸船長(当時54)とともに出航判断をした運航管理者の桂田氏にも責任があると主張している。

 一方で、桂田氏側は、運輸安全委の報告書は法的責任を問う目的でつくられておらず、その事実認定や推論は厳密な立証を経ていないと指摘する。

桂田氏側「出航判断に過失なし」

 出航判断については、海が荒…

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