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整備場所を決定し、会見後に握手する宮下宗一郎知事(中央右)と西秀記・青森市長(同左)ら=2024年9月16日午後5時5分、青森市、江湖良二撮影

 老朽化が進む青森県立中央病院と青森市民病院を統合し、県と市が共同経営する新病院の整備場所について、宮下宗一郎知事と西秀記市長は16日、市内で会談し、四つの候補地のうち「浜田中央公園・県営スケート場周辺」と決め、発表した。沿岸から離れていて津波防災に有利で、青森中央ICに近い交通の便の良さを理由に挙げた。

 新病院の整備をめぐっては、県内全体を視野に入れた高度な専門医療施設をめざす県と、まちづくりの核となる場所に病院を作りたい市の間で意見が割れた。病院へのアクセスや圏域人口、建設費の総額、交通渋滞、津波などの防災対策を巡って県や市がデータを出し合い、議論が続いた。

 当初の候補地は「青い森セントラルパーク」「旧県立青森商業高校及び県立中央病院敷地」「県総合運動公園」の三つ。セントラルパーク案が有力視されたが、アクセス難などを理由に7月、スケート場を移転させるスケート場周辺案が急浮上した。地元住民の意向を聞く必要があるとして今月1日、浜田地区の住民を対象にした懇談会も開いた。

 12日の市の検討会議(12委員)は市中心部に近い点を重視し、5人がセントラルパーク、1人がスケート場周辺を単独で推した。だが、14日の県・市合同の有識者会議(14委員)は高速道とのアクセスの良さを優先し、3人がセントラルパーク、8人がスケート場周辺と逆転させた。この報告を受け、宮下知事と西市長が2人で判断した。

 この日会見した西市長はスケート場周辺に決めるにあたり、四つの課題を指摘。スケート場周辺に現在ある市屋内グラウンド(サンドーム)は、セントラルパークへ移す必要がある▽スケート場周辺の浜田中央公園は、都市公園と貯水池としての機能を維持する▽渋滞対策や救急搬送ルートは、県と市が連携して検討する▽最寄り駅となる青い森鉄道の新駅は、セントラルパークのそばでもあるため、建設に向けて市と県の検討会議を立ち上げる、とした。

 西市長は「四つのポイントがきちんと解消できるのならば、十分新病院の立地として条件がそろうと考えた」と語った。

 宮下知事によると、県営スケート場の移転先はセントラルパークを有力候補として検討する。新病院の開院時期は2032年10月の予定。「県と市の中核病院として、県民と市民に愛されるよう、1日も早く開院できるよう取り組んでいきたい」と述べた。(江湖良二)

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