山口県内の小中高校と特別支援学校で把握された、いじめの認知件数が2018年度以降、4千件前後で推移している。県教育委員会は13年のいじめ防止対策推進法施行を受けて、「SNSなどネット上のいじめの積極的な認知が進んだことが件数増加の背景にある」と説明している。
県教委によると、23年度のいじめ認知件数は4247件。内訳は、小学校3072件、中学校991件、高校156件、特別支援学校28件だった。件数は、データが残る09年度以降で最多だった19年度の4406件に次ぐ多さとなった。
いじめ防止対策推進法が13年9月に施行され、いじめの早期発見などを学校に義務づけた。県内では、14年度に2千件を突破し、18年度~23年度は4千件前後が続いている。
県教委は、法の施行でいじめの積極的認知に対する理解が広がったとし、「各種アンケートや教育相談の充実などで児童や生徒に対する見取りを精緻(せいち)化し、SNSなどネット上のいじめの積極的な認知が進んだことが件数増加の背景にある」と話す。
また、同法は、児童・生徒がいじめによって、(1)生命や心身、財産に重大な被害が生じた疑いがある場合(2)相当の期間、学校の欠席を余儀なくされている疑いがある場合を「重大事態」と規定する。弁護士らによる第三者の調査委員会が被害を調べる。
県内の重大事態は、前年度より6件増えて、22件。20年度調査から県別データが発表されて最多となった。県教委は「法の理解が進み、重大事態の積極的な認定や保護者の意向を尊重した対応がなされるようになったため」と分析している。
児童・生徒1千人あたりでは、認知件数(23年度)は全国57.9件を下回る32.0件。重大事態の発生件数(同)は全国0.10件を上回る0.17件だった。
いじめの態様は、全国的に「ひやかしやからかい、悪口、脅し文句」が多く、小中・特別支援学校では「軽くぶつかる、遊ぶふりをしてたたく、蹴る」、高校では「パソコンや携帯電話で、誹謗(ひぼう)・中傷や嫌なことをされる」が続くという。
一方、県警人身安全・少年課によると、23年は38人からのいじめ相談などを受理した。前年より3人減った。
いじめに起因する事件の検挙・補導状況は、前年比3件減の2件。いずれも暴行。今年は10月末現在、暴行2件、器物損壊と迷惑防止条例違反が各1件の計4件。前年同期比で2件増えたという。(大室一也)