「完食指導」を考える 食べられない子どもたち 反響編(中)

 金沢市の女性(62)の長女(18)は、生後8カ月前後のころから食事のたびに泣いていた。嫌いなものを見ては涙、好きなものを食べ終わり、なくなってしまったことが悲しくて涙……。

  • 【連載「完食指導を考える」はこちら】叱って食べさせて幸せ?「野菜嫌いはスクスク育たない」という妄想

 離乳食が平均的なペースで進まず、黒いものや、形が崩れていたり、とがっていたりするものは口にしない。最初は食べていた野菜も、次第に拒否するように。食感が一様でないと嫌がり、チョコレートも初めて食べたときは吐き出し、その後数年、食べなかった。

 3歳になっても哺乳瓶でミルクを飲んでいて、食べられるのは白米と肉くらい。長女の「名言」は「あたし、食べたことのないものはきらいなの」だった。

 幼稚園はなじむのが難しかったうえ、給食の日を嫌がり、入園して3カ月で通えなくなった。

 少人数の別の幼稚園に通い直し、緩やかな指導と、お友達が気持ちよく食べる姿に刺激され、口にできる食べ物が少しずつ増えた。

 女性は「『食』に限らず、子どものことを待ったり認めたりする姿勢の大事さを知った」と振り返る。

 長女は4歳のころ、自閉症の…

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