検察官のだれもが関わるわけではないが、任務の中でもひときわ重いものに、刑場での死刑執行の指揮がある。
最高検検事を経て、研究者に転身した土本武司・筑波大名誉教授は、その経験をあえて語った人だった。昨年89歳で亡くなり、訃報(ふほう)が過日、公になった。
現職教授のころは、元検察官の視点で裁判や刑事法制にコメントし、メディアでおなじみの存在だった。しかし、聞かれることはまれな死刑制度に関する意見は、「現行のまま存置すべきだ」との法務・検察の見解とはかなり違っていた。
憲法には死刑を想定している…