直腸がん、そしてストーマ【前編】

 昨年3月、私(46)は横浜市の診療所で検査を受けた。鎮静剤が効いているのか、まだうとうとしていたところに医師がこう切り出した。「直腸に腫瘍(しゅよう)があります。2センチくらい。おそらく、がんですね」

 たしかに、直腸カメラの画像には、大きな口内炎のようなものが映っていた。

 「お尻近くなので、人工肛門(こうもん)(ストーマ)になります」

 がん? 人工肛門? 理解が追いつかなかった。

 労働組合に1年間専従して、記者として職場に復帰する前に、大腸カメラの検査を受けた。数カ月前からトイレでお尻をふくと血がにじんでいたからだ。痔(じ)かな、といった軽い気持ちだった。

写真・図版
治療していた時の筆者(増田勇介)。現在、横浜総局記者

「そんな場合じゃない」

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 4月から仕事はできますかと…

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