大谷康子©Masashige Ogata

 バイオリニストの大谷康子が10日、デビュー50周年の記念コンサートを東京で開く(チケットは全席完売)。「平和を実現するのはたやすいことではないけれど、音楽を媒介にすることで、いつかきっと可能になる」。そんな信念を、この日のために萩森英明に委嘱した協奏曲「未来への讃歌(さんか)」に託す。

 音楽は、社会とどんな風に関係を築くことができるのか。「挑戦と実験の50年だった」と振り返る。

 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団や東京交響楽団でコンサートマスターを務めつつ、乳幼児や体に障害のある人々にも音楽を届けようと、病院や施設を精力的に巡ってきた。

 音楽による才能教育で知られる「スズキ・メソード」で学び、8歳の時、アメリカに演奏旅行へ。言葉も何もわからないのに、金髪の大柄な大人たちが笑顔で優しく話しかけてきてくれた。「音楽があれば、誰とでも仲良くなれる」。共生のビジョンがおのずと自身の中で育っていった。

 米国同時多発テロ事件や東日…

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