連携協定を結ぶ北海道医療大学の三国久美学長(右)と松村諭・由仁町長=2024年12月25日、北海道由仁町役場

 北海道医療大学(当別町)と由仁町が25日、連携協定を結んだ。医療大への進学を第1希望とする町内の高校生を、町長推薦する。医療大と連携して町の子どもの進学先の選択肢を広げることで、人口流出を防ぎ、町の活性化につなげる。

 由仁町の人口は約4500人。町には、小中学校が各1校のみで高校がなく、子どもの高校進学を機に家族で引っ越すケースもあるという。小さな町にとって流出のダメージは大きく、進学環境を整えるため、町はこれまでも、立命館慶祥高校(江別市)や札幌日本大学高校(北広島市)と連携協定を結び、町長推薦を行ってきた。地元に高校がない場合、自治体が高校と連携協定を結び、首長推薦をする例はほかにもあるという。

 医療大との連携協定で、大学進学の選択肢も広げる。制度の詳細は今後詰めるが、これまでの高校推薦と同じように、一定程度の学力のほか、部活動やボランティアなど学力以外の活動を考慮し、希望者の中から推薦する考え。最終的な合否は医療大が決める。両者によると、大学への町長推薦は全国でも珍しいという。町は2026年4月入学から実施したい考えだ。

 町では、少子高齢化も進む。町立病院では現在、訪問診療に力を入れるが、担い手は十分ではない。医療大に進学した高校生が、卒業後、町の医療を支える人材に育ってもらいたいという願いも町にはある。

 町には、新札幌行きのバス路線が昨年9月に廃止になり、札幌圏に通学する高校生は主に、町内とJR北広島駅を往復する町の予約制バスを利用している。医療大が28年4月に北広島市にキャンパスを移すことが決まり、移転後は、このバスを利用すれば医療大にも通学しやすいため、町から協定の話を持ちかけて合意にいたったという。

 松村諭町長は「『小さくてもキラリと輝くまち』として、子どもたちの夢を実現させたい。そのための選択肢を広げて環境を整えることが重要だ」と話す。

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