写真・図版
山本育男・富岡町長=2025年2月25日、福島県富岡町役場、西堀岳路撮影

 東日本震災と東京電力福島第一原発事故から14年を迎えます。復興の現状や課題について、福島県富岡町の山本育男町長に聞きました。

 ――今年2月1日で2590人と、約1年間で240人余り増えました。人口回復の課題をどうとらえていますか

 ちょっとずつ増えている感じです。復興計画ではあと10年で5千人を目指します。いま、居住人口の半数以上を新規住民(移住者)が占めています。避難指示解除以降に約3千人が転入してきた一方、転出していく人も多い特徴があります。3~4月に転出入が活発になること、町内人口の7割が男性という状況から、復興関連などの企業で、転勤で来ている人が多いのでしょう。富岡に腰を落ち着けようと転入してくる世帯は年10組くらい。本当の意味で町民が増えたとは言いにくく、数字だけでは見えてこない実態があります。

 ――人口が増えないと、公共サービスの維持が困難では?

 そうです。例えば上下水道とも、元いた1万6千人分をまかなう設備がありますが、これを現在の約2600人の使用料で維持はできない。4基ある汚水処理ポンプのうち2基を止めるなど工夫し、国の交付金でしのいでいるのが実情です。

 ――地域コミュニティーの再生が進まず、頼れる人がいなくて、新規住民の子育て世代が孤立しがちな問題があります。対策は

 昨年から、ファミリーサポー…

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