歴戦の将にとっても、特別な1勝だったのだろう。
4月8日の東都大学野球春季リーグ開幕戦の第3試合。日が暮れかかった神宮球場。今季から母校の駒大で指揮をとる香田誉士史(53)は勝利の瞬間、大きく手をたたいた。
「名門を率いての初戦。ホッとした」
公式戦用のユニホームは、この日まで袖を通さなかった。着用したのは学生時代以来だったという。
「身が引き締まる思い」
一言ずつ、かみしめるように話した。
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駒大苫小牧を率いての快進撃は、高校野球史に燦然(さんぜん)と刻まれている。
2004年から夏の全国選手権で優勝、優勝、準優勝。優勝旗が渡ったことのなかった北海道で、戦後初の3連覇に最も近づいた。
30代にして名将と呼ばれた。
「苫小牧にずっといたら、甘えていたかもしれない」
08年に野球推薦枠のない鶴…