七回裏の阪神の攻撃前、ジェット風船を飛ばして声援を送る観客ら=2025年3月9日午後、阪神甲子園球場、白井伸洋撮影

 プロ野球・阪神の本拠、阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)で9日、ジェット風船の実証実験が行われた。4万1839人が詰めかけた巨人とのオープン戦で七回表終了後、阪神の「ラッキーセブン」で球場全体が黄色に染まった。

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 甲子園でジェット風船が舞うのは、19年シーズン以来、6季ぶり。甲子園名物の一つだったが、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、20年シーズンから中止されていた。

 プロ5年目の中野拓夢は「テレビでは見たことがあったけど、初めて生で見たので鳥肌が立った。たくさんの方が甲子園に来られてる、そういう中で野球ができている喜びをもう一度感じながらプレーしたい」と話した。

 今回の実験では、飛沫(ひまつ)対策として風船を膨らませる専用ポンプとともに風船2個を来場者全員に配布した。

 風船の素材も環境に配慮したものとなっており、風船本体は天然ゴム、ポンプにつなぐ吹き口はペットボトルキャップを再生したものを使っている。球場内に回収ボックスを設置し、使用済み風船の再資源化にも取り組む。

 担当した球団事業本部営業部の阪本三千男次長によると、再開を望むファンの声に応えるとともに、飛沫感染の不安や環境問題を挙げる反対派の声にも配慮。すでにジェット風船を使った応援が復活している広島やソフトバンクなど他球団を参考にしながら、球場外まで飛びにくいように風船の飛距離も抑えたという。

 実証実験は、4月13日の中日戦でも予定している。また、来場者とファンクラブ会員にアンケートを実施し、反応を見る。

 正式に復活するかについて、阪本次長は「我々はお客さんが喜ぶことを形にする使命がある」とした一方で、「やるのであれば早いに越したことはないが、数週間で決められるレベルではないと思う。一つひとつ課題をクリアしながら、よりベターな方法を探りたい」。

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