パリ五輪の陸上女子1500メートル、5000メートルともに決勝進出を逃した田中希実

 このままゴールするのか? パリ五輪の陸上競技場で、私の胸は高鳴った。

 陸上女子5000メートル予選。田中希実(のぞみ)(ニューバランス)が集団の先頭でスピードを上げたのは、残り2千メートル付近だった。

 153センチのひときわ小さな体で、東京五輪金メダルのシファン・ハッサン(オランダ)や世界歴代2位の記録を持つフェイス・キピエゴン(ケニア)らを従えていた。

 トップを守ったのは残り300メートルまで。後続にのみ込まれると、再び突き放す余力はなかった。

 決勝に進めるのは上位8人。9着で敗退が決まった。

 ゴール後、トラックに倒れてぼうぜんと空を見上げた。望んだ結果ではなかった。だが、あのレース運びの背景には、確かな成長があった。

 この大会前まで、田中は五輪…

共有
Exit mobile version