近年全国で相次ぐクマの被害を受け、環境省は市街地での猟銃使用の条件を緩和する方針を固めた。8日にある専門家の検討会で了承を得た後、次の国会で所管する鳥獣保護管理法の改正を目指す。被害防止への期待の一方で、事故を防ぎながら確実に捕獲を進めるには高い技術が求められる。人材育成や制度などの議論も待ったなしだ。

 環境省によると、2023年度に報告されたクマによる人身被害は過去最多の219人で、このうち死者は6人。今年度も4~7月2日で人身被害34人、死者2人が出ている。えさの不足や、人が住まなくなった地域で果樹が放置されるなど、クマが出没しやすい環境が広がっていると指摘されている。

ヒグマの親子

 今年4月には有識者会議を経て、駆除などに対して国から資金が出る指定管理鳥獣にクマが追加された。会議の中でも市街地での猟銃使用の条件について、見直しの必要性が指摘されていた。クマの出没数が多い、北海道と東北地方の知事からも2月、見直しに向けた要望が出されていた。

 現在の鳥獣保護管理法は、38条で市街地での銃猟を禁じている。猟友会などがクマを撃つためには、立ち会った警察官から指示を受けるか、刑法の「緊急避難」にあたる、やむを得ない行為として対応するしかない。しかし、警察官が許可を出すのに時間がかかったり、発砲後に捕獲者が違法性を問われたりする事案も起きていた。

一定条件のもと緩和 措置に伴うリスクも

 そこで専門家の検討会は5月…

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