香川県出身の画家・猪熊弦一郎(1902~1993)と東京の老舗画材店がデザインしたダイニングテーブルセットが、40年の時を超えて復刻した。制作を担ったのは、猪熊の出身地で170年以上の歴史を持つ家具専門店「中村谷(なかむらや)」。猪熊らの思いを引き継いだ家具が、高松市内にある同店で販売されている。

 東京・銀座にある老舗画材店「月光荘」は、日本で初めて純国産の絵の具を開発した。創業者の橋本兵蔵さんと猪熊は親友で、月光荘のスケッチブックやポストカードなどをともにデザインしていたという。

 その延長で作られたのが、このテーブルセットだ。遅くとも1950年ごろには販売を開始し、橋本さんの自宅ではもちろん、個人宅や学校などで使われていたという。

写真・図版
40年以上前につくられたオリジナル版のダイニングテーブルセット(手前)と今回復刻したもの(奥)=2024年10月18日午前10時44分、高松市鍛冶屋町、内海日和撮影

 しかし、職人の高齢化に伴い、約40年前に販売中止となっていた。橋本さんの孫で、月光荘の現店主である日比康造さん(49)は「自分はこの机と椅子で育ってきた。いつか復刻させたいとずっと思っていた」と話す。

 知人の紹介で知り合った中村谷社長の中村谷威之(たけし)さん(45)に制作を依頼し、今回の復刻が実現した。

 当時の正確な図面は残ってい…

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