警察庁が入る庁舎=2024年9月2日午後1時20分、東京都千代田区、板倉大地撮影

 犯罪の被害者やその家族の支援を目的とした条例が、47都道府県すべてで制定されたことが、警察庁が17日に公表した「2024年版犯罪被害者白書」でわかった。都道府県で唯一なかった岩手県で今年4月に条例が施行した。ただ、市区町村単位でみると、増えてはいるもののまだ半数にとどまっている。

 警察庁は「自治体間で犯罪被害者の支援に差が生まれないよう、条例制定や計画の策定に向けた情報提供などを引き続き進めていく」としている。

 2004年に成立した犯罪被害者等基本法は、国だけでなく、自治体にも地域の状況に応じた施策を策定、実施する責務があると規定している。

 都道府県では、04年に初めて宮城県で、政令指定都市では11年に岡山と京都で施行され、その後拡大してきた。白書や警察庁によると、今年4月1日時点で、都道府県はすべてで制定され、指定市では熊本、千葉、静岡の3市で昨年秋と今年春に制定されて20のうち16まで増えた。指定市を除く市区町村では、23年4月時点の606から847に広がったが、全体に占める割合は49・2%にとどまる。すべての市区町村で制定しているのは12府県で、市区町村の制定割合が3割未満の都道府県がまだ19ある。

 総合的な対応窓口に社会福祉士や精神保健福祉士といった専門職を配置している自治体は、増えてはいるものの13都道府県、10指定市、65市区町村にすぎない。

 また、犯罪被害者らに見舞金を支給する制度を導入しているのは21都県、17指定市、863市区町村という。

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