日本救急医学会は、熱中症の診療指針を9年ぶりに改訂した。これまで3分類していた重症度に、新たに最重症群の「4度」を設けた。深部体温(体の中心部の体温)が40度以上で、意思疎通が難しい重篤な患者とし、医療機関で速やかに体を冷やす集中治療の必要があるとしている。
総務省消防庁によると、4月29日~8月25日に熱中症で救急搬送された人は8万3238人(速報値)に上る。また、年間1千人超が熱中症で亡くなっている。
従来の指針の重症度の3分類は、体温などにかかわらず、めまいや立ちくらみがある状態を「1度」、頭痛や嘔吐(おうと)があると「2度」、意識障害などがあれば「3度」と定義していた。1度は体の表面の冷却や水分・塩分の補給など現場での処置、2度以上は医療機関を受診、3度は入院が必要としていた。
学会は熱中症患者2500人超のデータを分析。深部体温が40度以上で、意思疎通が取れない患者の死亡率は23.5%と、それ以外の患者の6.4%と比べて高かった。
新たな指針では、深部体温が40度以上で、意思疎通が取れない患者を最重症群の「4度」とし、早急に体を冷やす「アクティブクーリング」などの治療を推奨する。
アクティブクーリングには…