防災も楽しんで――。そんな思いを込めた防災用品の企画、販売を「ENJOY BOUSAI」ブランドとして手がける有限会社「西谷(にしや)」(山形市)が、災害時でも温かくておいしい食事を安全に楽しめるキット「ENJOY BOUSAI あったかフードボックス」を発売した。能登半島地震の発生からもうすぐ1年。被災地を含む北陸地方からの注文も相次いでいるようだ。
キットを企画したのは、防災士でもある同社取締役の西谷友里(ゆり)さん(38)。2020年以降、アレルギー対応、野菜不足を補うなど、そのつどテーマを設けたオリジナルの防災ボックスを毎年企画、発売してきた。
今年、元日に起きた能登半島地震を受けて、災害時の食事に望むことをSNSで改めて問いかけたところ、「災害時でも温かいごはんが食べたい」「温かいごはんを食べるとホッとする」といった声が多かった。
「寒い季節の避難生活でも温かい食事が楽しめるように」と、加熱機能のあるケースを製造している京都市の防犯・防災用品メーカーと連携して考案し、商品化した。
ボックスは幅26センチ、奥行き19センチ、高さ17センチ。内側のケースに食品を入れ、外側のケースの底に発熱剤を置いて水を注ぐと温めることができる。加熱時に火を使わず、やけどの心配もないため子どもや高齢者にも扱いやすく、どこでも安全に食事を楽しむことができる。
個人向けの販売は、大丸松坂屋百貨店のオンラインストアで今月から。1人1日分の非常食と発熱剤6個が入って7260円(税込み)。非常食はドライカレーや五目ごはん、梅じゃこご飯など。「様々なメーカーの非常食を試食し、忖度(そんたく)なしに、おいしいものだけを選びました」と西谷さん。飽きずに食べられるようにと、組み合わせも工夫した。
企業・団体からの受注(20個から)は11月に始め、東北地方のほか北陸地方からも多くの注文が届いているという。注文や問い合わせは同社(023・622・5677)へ。