熊本市で3月下旬からロングランを続けている映画がある。熊本県山鹿市の夏の風物詩「山鹿灯籠(とうろう)まつり」を舞台にした映画で、東京から移住した夫妻が製作。「ともに生きること」の意味を問う作品に共感が広がる。
作品名は「骨なし灯籠」。脚本家の木庭撫子(なでしこ)さん(56)と、長くテレビ局に勤めた夫の民夫さん(65)=熊本市出身=が製作した。
元美術教師の男性が、妻の遺骨を抱えて山鹿の街をさまよう場面から映画は始まる。灯籠踊りのポスターに描かれた踊り子に妻の面影を見いだし、やがて、灯籠師らに手を引かれるように再生の道を歩み出す物語だ。
2人が山鹿市に移住したのは2021年9月。民夫さんの父の実家である築150年の古民家をリノベーションして暮らす。
愛知県出身の撫子さんは、短大を卒業すると北海道へ。倉本聰さんが主宰する「富良野塾」で脚本家や俳優を志す仲間と2年を過ごし、その後はテレビドラマなどで経験を積んだ。
映画の依頼が知人から舞い込んだのは、移住して間もなくだった。
■コロナ禍 全編を山鹿で撮る…