「カグラバチ」第1話から。「静と動」の対比があざやかな見開きのコマ割り (C)外薗健/集英社
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 国際的な評価が高い日本のマンガのなかでも、いま異例の注目を集める作品がある。「週刊少年ジャンプ」で2023年9月から連載中の「カグラバチ」だ。寡黙で冷徹なダークヒーローが復讐(ふくしゅう)に生きるという、少年マンガでは異色の作品だが、海外向けに配信されるやたちまち人気に火が付いた。作者は、今作で連載デビューを果たした若手の外薗健さん。なぜ、復讐者を描くのか。マンガ家を目指したきっかけは? 朝日新聞の単独インタビューに応じた。

 ほかぞの・たける 2000年、大阪府出身。20年に読み切り作品「炎天」で集英社が主催する新人賞の手塚賞に準入選。23年9月から「週刊少年ジャンプ」で「カグラバチ」を連載中。

 ――本作は連載開始後の1週間で、版元の集英社が世界9言語で展開するプラットフォーム「MANGA Plus by SHUEISHA」で並み居るアニメ化作品をおさえて閲覧数1位になりました。作品全体では1億PVを超えています

 最初はびびっていましたね。急に多くの人に見られすぎて、毎週1話1話を作るのもこわかったぐらいです。でも、ちゃんと好きでいてくれる人も増えたので、よかったなと思っています。

 ――伝説的な刀匠として知られる父の背中を追う少年チヒロが、ある悲劇をきっかけに復讐者となる物語。黒ベタが映える画面で、アクションも大胆。スタイリッシュな構図も斬新です

 描くときに意識しているのは、自分の引き出しにない絵が描けたらなと。自分でもおおっと思える感じの絵が描けたら、と考えながら描いています。

 ――物語は「復讐」が重要なテーマになっています。過去の読み切り作品「さらば!チェリーボーイ!」と「ロクの盟約」も、いずれも「復讐の物語」でした。主人公がダークヒーローというのも、「みんなに好かれる主人公」という少年マンガの定石からすれば挑戦的ですね

「映画の影響が強く出ているんかな」

 読み切りは「主人公が何かに…

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